普通大学生の偏った音楽評論1~日本人は冥丁(Meitei)を絶対に聴くべき~

衝撃を受けた。

初めてYouTubeで冥丁の花魁Ⅱを聴いたとき。


Meitei / 冥丁 - Oiran II / 花魁 II (Official MV)

 

初めは「なんだこれ」と思ってしまった。

昔の日本女性の声みたいのがサンプリングされてるし、なんか古臭い感じがするけどなぜか新しい.....。

淡いカラー写真がコマ撮りみたいに動いて奇妙だし、少し怖い。

 

 

とりあえず聴くのをやめた。

曲全体を通して最初に持った感想は「面白い」だったと思う(interestingのほうね)。

アーティストでもなんでもないが、こういうのもありなんだなと感心した。

昭和歌謡とかシティーポップが現代でもウケてるけどもっと前の時代の要素を取り入れるなんて。

 

正直あんまりハマらなかった。

というのも僕はこういった類の音楽があまり好きではなかった。

というか無知だった。

2000年生まれの僕は中高時代はセカオワゲスクリープハイプばっかり聴いてるいわゆる"そこらへんの邦ロック好き"で、大学に入って友人の影響でようやく洋楽にハマるようになった遅咲きリスナーなのだ(今開花しているかは定かではない)。

歌詞のない音楽には抵抗があった。

 

二度目の出会い 

ある日大宮のmore recordsというCDショップに初めて行った。

いろいろな音楽を試聴してとても素敵な時間を過ごせた。

ジャンルごとに整頓されていて、隣のセクションに移動しようとしたときあまり気にしていなかった店内BGMが耳に入る。

 

「people, people, people, people, people, people, people, Japanese people

 

nanikore?

 

ポカーンとしてしまった。

めちゃめちゃクールかもしれない。

しばらく聴いていると、

 

「 オマチドウサマ」

 

え、今「おまちどうさま」っていったよね。

Nihongo? Can you speak Nihongo?

立ち尽くしたまま一曲通しで聴いてしまった。

頭から離れない。

 

居ても立っても居られなくなった。

普段CD屋、レコード屋に行っても店員さんに話しかけない僕が気づいたら店員さんに話しかけていた。

とても丁寧に詳細に話してくれた。

 

冥丁だった。

 

そして"おまちどうさま"は

open.spotify.com

という曲だった。

 

 

家に帰ってすぐ新アルバム「古風」を聴いた。

最高だった。

日本人としての民族アイデンティティがぶるぶる震えていた。

 

このアルバムからは匂いが香ってくる。

おばあちゃんの家みたいな懐かしさだったり、自分が小学生やそれより前の砂ぼこりがかかったような記憶を包んでくれるような温かさがそれぞれの曲にある。

たまとは異なったベクトルの日本らしさ。

聴覚だけを働かせているのに五感で味わっているような感覚。

何かはわからないんだけど忘れていたものを思い出したような感覚。

それでいてエレクトロニックやHIPHOP的な要素も感じ、とても奇妙で心地よい感覚を覚えた。

 

インタビュー記事もあったのでぜひ読んでほしい。

とても面白い。

tokion.jp

 

 

個人的おすすめの3曲

こんなわけで冥丁にどっぷりハマった。

ディスクユニオンでアナログ盤を見つけたときは発狂するほどうれしかった(一緒にいた友人にひかれた)。

そしてこれまでチャレンジしてこなかった"アンビエント"のジャンルを開拓する窓口になってくれた。←ココ重要

 

そんなアンビエント歴が浅い僕が僭越ながら少しおすすめを紹介したいと思う。

 

 

貞奴(さだやっこ)

open.spotify.com

やっぱりアンビエントに興味がない人はこれを聴いてほしい。

アルバム「古風」の他の曲とは少しニュアンスが異なるPOPさがあるので聴きやすいと思う。

 

 

②Ike

open.spotify.com

アルバム「komachi」から。

"Pond"ではなく"Ike"を感じさせる水の表現が本当に気持ちいい。

午後3時くらいに涼しげな縁側でお茶をすすりながら聴くという老後を夢見たくなるような曲。

 

 

③魍魎(もうりょう)

open.spotify.com

アルバム「怪談」から。

ナレーターが魍魎という物の怪を語るという曲調。

ぞわぞわっとする感覚となぜか安心するような感覚が同時にせめぎあう。

「怪談」はアルバム通して聴くと素晴らしい。

 

 

まとめ

以上最近の個人的なお気に入りアーティストの一人、冥丁の紹介でした。

日本という国の情緒に触れるために、聴いてみてはいかがでしょうか。

 

アナログ盤にはそれぞれの曲に詩のカードが入っていて、それを読みながら聴くとよりその世界に溶け込むことができます。最高。

 

 

ユム